人口動態という確実に未来を読める方法
2030や2040というタイトルで未来の世の中を予言するような本が人気ですが、今回は
「人口動態」という確実に訪れる指標
を使って過去を振り返り、さらに未来についても触れていきたいと思います。
なぜ人口動態が確実なのかというと、
人は必ず年を取り、人口はちょっとやそっとでは大きく変動しないため、未来の人口動態が高確率で読めるためです。
そして、その人口動態によって経済や政治は動いていきます。
つまり、人口動態を見ると日本の状況が把握でき、未来の流れが読めるということです。
1970年
まず1970年代の人口ピラミッドはこのような感じでした。
1945年に第二次世界大戦が終了後、全ての国で出生率が上がるベビーブームが到来します。
これは日本においても例外ではなく、それにより「団塊の世代」が誕生します。
この時代、政府は敗戦によって弱まった国力を高めるために、とにかく人口を増やしそれによって経済を活発化させようとしました。
1975年はちょうど団塊の世代が20代~30代となり労働市場のメインプレーヤーとなります。
その結果、団塊の世代が製造業を中心に高度経済成長をけん引していった時代でした。
1995年
1995年まで進むと団塊の世代は40~50歳代へと移動します。
そして、見てわかる通り団塊の世代の子供である団塊ジュニアが20~30代となります。
先進国の仲間入りを果たした日本ではバブル崩壊が始まり、日本に不況の危機が訪れます。
行政や政府は、団塊の世代の生活を守ることを第一優先し、巨額の公的資金を投じて景気を下支えしようとしました。
その結果、この時代日本全国に採算の取れない橋や道路・豪華な庁舎や公民館などが建設されました。
不景気により苦しくなった製造業・大企業の諸企業では、
を行い、比較的団塊の世代の雇用は守られましたが、
したため、その代わりに団塊ジュニア世代の雇用が破綻しました。
ちなみにこの後中年の引きこもり増加が社会問題化しますが、これは就職氷河期で就職できなかったロスジェネ世代と言われる世代がそのまま中年化したものです。
2020年
2020年になると、団塊の世代が後期高齢者になり労働市場から撤退していきます。
そして、団塊ジュニアが40~50代となっています。
このあたりから
など、日本的雇用の破壊が進み始めます。
政府は第3次ベビーブームが来ず、少子高齢化が叫ばれている中、労働力確保と生産性向上が課題でした。
その動きが2020年にやっと進み始めたのは、他でもない
です。
ボリュームゾーンである団塊の世代がプレーヤーとして君臨している間は、団塊の世代に不利になるような動きは決して実行されることはありませんでした。
ですがその障壁がなくなったことで一気に流れが変わり始めたということです。
2040年
ここから未来の予測となりますが、2040年は上記のような人口ピラミッドとなると言われています。
団塊の世代が90~100歳、団塊ジュニアが70~80歳となります。
ここが日本の高齢化のピークと言われており、現役世代1.5人で高齢世代1人を支えることとなります。
つまり、平成が団塊の世代の雇用を守る30年だったとするならば、令和は団塊の世代の年金を守る20年になっていきます。
社会保障費をまかなうために、現役世代の税金が重くのしかかる時代です。
その他この時代は、少子高齢化・過疎化が進み、
となると予想されています。
人口動態から未来が読めるのになぜ事前に対策を打たないのか?
ここまで読むと
というもっともな疑問が湧くと思います。
その答えは簡単です。
政治を動かすのは政治家です。
そして、政治家は人口のボリュームゾーンから票を得ようとします。
そのため、必然的に団塊の世代や団塊ジュニアを支えるための政策が実施され、長期的な目線や将来を見据えた施策は実行されません。
例えば、理想主義の官僚がどんな改革案を出したとしても、有権者の不安をあおるとして政治家に握りつぶされます。
結果的に、政府としてはひたすら対処療法を繰り返すことになります。
今後に関して言えば、2040年を過ぎれば徐々に高齢化率は下がっていくことがわかっています。
それがわかっているため今からわざわざリスクを取って改革をする必要が無い、となります。
つまり、必要と言われているような
などを増やすという動きは、現時点では理想論であり、団塊ジュニアが世の中から退場しないと実際には動いていかないという見方が濃厚です。
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